かながわ総合法律事務所

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「10年の取引」…過払い金が発生する人としない人

その1

「私には過払い金がどのぐらい発生していますか?」

無料相談のお電話や面談の際、
「過払い金は発生しているでしょうか?」
「大体どのくらい発生しているでしょうか?」
というご質問をよくいただきます。

一言でお答えしますと、
「発生しているとは思いますが、具体的なことはわかりません…」
という回答になってしまいます。

…と、これでは専門家の答えになりませんね。

正確に申し上げますと「取引履歴を取り寄せて、引きなおし計算(過払い金の計算)をしてみるまで何ともお答えできません。」になります。

病院の検査と同じと考えれば、一番分かりやすいと思いますが、
病院の先生が、「おそらく胃潰瘍だと思いますけど、検査してみましょう」

と、検査をするまでは、病名を断定しないのと一緒です。

しかし、どうしても正確な数字・お取引のご状況を見るまでは「何とも申し上げられません。」としかお答えできないのです。

それは、やはり10年以上のお取引があっても債務が残る方をみているからです。

ここで11年間消費者金融とお取引をされていたAさんの例を紹介します。

Aさんはある消費者金融と平成8年からお取引を開始し、平成14年に1度完済しました。

そして平成16年にまたお取引を開始し平成18年に2度目の完済を迎えました。

(本人のご記憶ではこの完済は覚えていなかったようです。)

さらに平成19年からお取引を開始し、最近まで借りたり返したりを繰り返していました。

2度完済をされて3年間お取引をされていなかった期間があるので、トータルすると11年間お取引をされていたことになります。

過払い金が確実に発生する目安である「10年以上ある方」に見事に当てはまっています。

ところが、取引履歴を取り寄せて計算をした結果、まだ借金が10万残る計算になりました。

11年もお取引をされていたのに、なぜ借金が残る計算になるのでしょう?

Aさんの場合、複数の原因が重なっていました。

原因①
最初の4年間限度額が低かったこと。
(10万円~20万円ぐらい)

→限度額が低ければ低いほどかかる利息も少ないので、なかなか「利息を払いすぎている」状態になりません。

原因②
返済をする時に1度で大きい金額を返していること。

→「借りては返す」を繰り返している方のほうが、少しずつとはいえ何年も払いすぎている状態が続くので、過払い金が多くなることがほとんどです。

原因③
直近で多額のお借入れをされていること。

→平成20年頃から各業者が利息制限法以内の利率に利息を下げていることが多いので、利率が下がった後にお借入れをされたものに関して減額は見込めません。

Aさんの場合、平成19年に新たにお借入れをされる際に利率が18パーセントに下がり、その後多額のお借入れをされていたのでこのお借入れの分については減額がありませんでした。

以上がお取引が11年あったにも関わらず過払い金が発生していなかったほんの一例です。
確かに、「10年以上取引しています。」と聞くと、私も他の依頼者の方の経験から「過払い金が発生していると思います」とお答えしたいものです。

その2

「過払い金が発生している・していない」
「どれくらい過払い金が発生しているか?」

については本当に個々の依頼者の方の状況によって異なってくるものです。

電話相談や面談の際に、少しでも多くの情報を聞かせて頂き、試算はしますが、何年も前のことになると事実とご記憶が異なっている場合もございます。

また、前回のコラムのAさんの通り、平成20年以降に多額のお借入れをなさっている場合などは思った以上に減らないケースもあります。

では前回とは逆に、1年近くお支払いが滞ってしまったため、借入先の業者から、

「これ以上お支払いを遅滞される場合には裁判などの法的手段にでます」

といった内容の督促状がきてしまったBさんのケースをお話します。

Bさんの取引期間も11年近くありましたが、取引きの履歴はAさんとは全く逆の形態でした。

Bさんは、利息が29%程度と金利が高い時期に頻繁に借入れと返済を繰り返され、その後も空白期間が無く継続的に取引きをされている状態でした。

また、平成20年以降の法定金利になった後は、ほとんど借入れをされていない状況で、平成21年からは返済もできなくなってしまった状況でした。

Bさんは返済の方法も一度大きな金額でされるよりは、毎月決まった額であったため、ほとんどが利息に充当されなかなか元本は減っていかないという状態でした。

しかし、Bさんには過払い金がしっかり発生していました。

平成20年以降の直近での借り入れが少なく、昔に頻繁に取引きをされていたこと・継続して小額の返済をしているため、元本がなかなか減らなかったためでしょう。

そして、平成21年の返済が滞るより前に、過払い金が発生していたため、終わってみればそもそも支払が滞ってすらいなかったわけです。

以上のことから、過払い金が発生しているかどうかは「取引履歴を取り寄せて引きなおし計算をしてみるまでは確実なことは申し上げられない。」というのが1番正しい回答になるかと思います。

取引年数や限度額、ショッピング枠の利用などの情報により過払い金を自動算定する「過払い金計算機」なるものもネット上で存在します。

しかし、取引のされ方が全く同じ方などこの世には存在しない以上、算定結果にかなり近い方もいらっしゃるかもしれませんが、当然算定結果とかなりかけ離れてしまう方もたくさんいらっしゃるでしょう。

ただ、私達専門家が「確実なことは申し上げられない。」では、ご相談されている依頼者様も困ってしまいますよね。

ご相談の際には出来るだけ多くの資料をご用意いただき、なるべく正確なご記憶をお伝えいただければと思います。

1つでも多くの情報がより正確なアドバイスへとつながっていきます。

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